中高年者の登山注意ポイント

中高年者登山においては、若年層に比べ注意するポイントがあると考えます。
私自身は、40代後半です。若い時に比べ体力の低下や認知能力の低下を実感しています。
私の体験に基づき、中高年者の登山における注意ポイントを記載いたします。

登山計画

中高年者においては、余裕を持った登山計画が必要だと考えます。
登る山に対し標準コースタイムを書籍やWEBにてリサーチしますが、標準コースタイムに対し1時間~2時間多めに設定し行動予定を立てます。
また、書籍やWEBの標準コースについては、休憩時間が考慮せれていない様に感じています。
(休憩時間についは、個人差がかなりある為、必然だと思います。)

日帰り登山においては、バックパックの重量が軽い為、概ね標準コースタイムと同様の行動時間で登山を終える事が出来ますが、テント泊などを想定した長距離縦走路においては、バックパックの重量が重い為、大抵1時間~2時間程度は標準コースタイムより多く行動時間が掛かります。

基本的には15:00を目処に行動を終了出来る様に計画を立てます。
その為、登山開始時刻を早め計画を立て行動することもあります。
行動開始時間にもよりますが、15:00以降に行動すると蓄積疲労で注意不足になり遭難や怪我の可能性が高まります。又、日没後の行動も非常に危険だと思います。

長距離縦走路においては、1日~2日程度は予備日を確保し無理な行動は出来るだけ避ける様に計画を立て行動する様にしています。
(重複しますが計画通り無理に行動すると遭難や怪我のリスクが高まる為、15:00を目処に疲労を感じたらビバークする様にしています。)

行動計画に余裕が無いと焦って行動し、遭難や怪我のリスクが高まると考えます。

歩行時のポイント

1)
歩行時は歩幅は小さくし、大股で歩かない様にする事が重要です。
大股で歩行すると体全体、特に足に負担がより多く掛かり、小幅で歩く場合と比べて疲労蓄積のスピードが速まります。
特に大きな段差などは、注意して確認しなるべく大股にならないルートを探すなどの工夫が必要です。
(直進せず、斜めに歩くルートを探すなどです。又、若干の周り道を利用するなど。)

2)
呼吸法についても、意識する必要があります。
長時間「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ」と息を切らしながら歩行している状況は、体力的にかなりキツイ状態であり無駄に体力を消耗します。また、注意力が散漫し怪我などのリスクが高まります。
この様な状態に陥った場合、休憩し体力を回復させる事をおすすめします。

「ふぅー ふぅー ふぅー ふぅー ふぅー」を唇をすぼませながら息を吐きながら、連続で呼吸することをおすすめします。
「ふぅー」1回当たり5秒程度、心の中で数えながら息を吐きます。(1,2,3,4,5)
空気(酸素)の吸い込みに関しては、特に意識しません。
「ふぅー」と息を吐いた後、勝手に空気(酸素)を吸い込むことが出来ます。
この呼吸法は、上りでキツイ場面では特に有効です。

3)
ゆっくりしたペースで歩き、休憩をこまめにとる。
当然ですが早いペースで歩くと体力をより消耗してしまいます。
ゆっくり歩く事により、体力的にも気持ち的にも余裕が出来できます。
気持ちに余裕が出来ると、山や景色を十分堪能できると思います。
体力や気持ちに余裕が無くなると、足元ばかりに目線が下がり、道迷いや転倒のリスクが高まります。

休憩をとるタイミングも重要です。
計画なしに疲れたら休むという方法はおすすめ出ません。
この方法の場合、個人差はありますが体力回復に非常に時間が掛かります。
(30分~1時間以上掛かる場合もあると思います。)

私の場合、基本的に疲労具合に関わらず、1時間歩いたら10分休憩をとる様にしています。
連続で歩く時間や休憩時間については、各自、体力や経験または環境に応じて決めるのがいいと思いますが、完全に疲れ切る前に休憩することが重要です。

4)
ストックの利用。
中高年者の登山においては、積極的にストックを利用することをお勧めします。
ストックを利用する事により、足腰の負担を軽減する事が可能です。
また、転倒のリスクも下がると思います。
(岩場、鎖場においては逆に必要ない為、バックパックに収納する。)

5)
認知能力の低下。
中高年者においては、自分の意識より足が上がっていない為、木の根っこ等に足を引掛け転倒する可能性が高まります。疲労が蓄積された状態では特に注意が必要です。

また上部の木の枝や岩に頭をぶつける可能性も若年層に比べて高まります。
対処法として上部のぶつかりそうな木の枝、岩を手で触りながら進む(通り抜ける)と頭部接触のリスクを抑えることが出来ます。

備考

中高年の登山の注意ポイントについて、考えました。
最も重要な事は、怪我をしないで無事に下山する事です。
行動計画に余裕を持たせ、ゆっくりとしたペースで山行する事により道迷いや転倒のリスクは下がると思いますが油断は禁物です。
体調の悪化や天候の悪化など、予測不能の事態が発生することもあります。
判断を間違えると、取返しのつかない事態になる可能性があります。
常に安全側に意識を持ち行動する様にして下さい。

例_1)
もう少しで登頂できそうだが、このペースだと下山時に日没を迎え暗闇の中を歩く事になりそうだ。
 A.せっかく来たのだから、このまま登頂を目指そう。
 B.登頂を諦めて、このまま下山すれば、日没に間に合う。

⇒Bを選択するべきです。
日没後、ヘッドライトを使用しての行動は十分な経験が必要になります。
また、体力的にも予想していた登頂時間より大幅に遅れている為、疲労が蓄積されている状態が予想され転倒など怪我のリスクが高まります。

登山をしていると様々な判断を強いられる状況がありますが、無理にチャレンジする必要は決してありません。

山は動かずそこにあり続けてくれます。
次の機会にまた登ればいいのだと思います。